豆と自然

コーヒー豆の焙煎、販売の開業を目指す。まだ何も始めていない。コーヒーと山とランニングが好き。

井の中の蛙大海を知らず

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海外旅行の楽しみといえば知らない土地でランニングをすること。
 
特に朝走るのが好きだ。
朝日を浴びてきらめく静かな街並みを独り占め出来るのが良い。
ホテルに帰ると朝食をたくさん食べる。走った分、腹が減っているのである。
このようにして一日のスタートを切れるのは、私にとって旅行の醍醐味のひとつだ。
 
さて、海外へ行くと2つの発見がある。
 
それは訪れた土地に対する発見がひとつ。
文化、建築、食事など日本では味わえない様々な発見に満ち溢れているだろう。
もうひとつは日本に帰ってきたときに感じる日本の豊かさの発見である。
 
20歳そこそこの時にインドへ1ヶ月間バックパックの旅をしたことがある。
沢木耕太郎氏の「深夜特急」を読んで、バックパッカーに憧れた口だ。
食べ物、文化、街並み、習慣。すべてが日本と違っており様々なカルチャーショックを受けたのは言うまでもない。
 
それまで滞在していたデリーからガンジス川流域のヴァラナシへ電車で向かった。
デリーからヴァラナシといえば、距離的には東京、大阪間とさほど変わらないが、いかんせんのろのろ走り、途中で止まるや、いつ出発するか分からないといったことがよくある。駅でもない草原に停車している間に電車から降りて立ちしょんべんをする者もいればストレッチ体操を始める者もいる。のどかなものだ。
長丁場になるのは分かっていた為、食事付きの切符を買っていた。
出された食事は例の如くカレーだ。
勿論、手で食す文化のインドではスプーンは出てこない。
片言の英語でスプーンをお願いすると、アイスクリームについくる小さな木のへらが出てきた。まさかこれでカレーを食べるのかと思ったが、しぶしぶ具をすくうと具の中にハエの死骸がまぎれていた。 ああ、もう食べたくない。
 
そんな経験もありインドの食事に辟易としていた頃、久しぶりにまともな日本の食事を食べたくなった。
阪神タイガースの旗が飾られた日本食を食べれそうなレストラン(といっても定食を出してくれる様な立派な所ではない)でラーメンを注文すると日清のチキンラーメンが出てきて非常にがっかりしたのと同時に強烈な懐かしさを感じたのは良い思い出だ。
 
インドでの発見も刺激的ではあったが、日本に帰ってきた後に感じた「日本の豊かさ」の方が私にとってはより大きな発見となった。
私の実家は梅田より電車とバスを乗り継いで1時間以上。
兵庫県の片田舎なのだが、住宅は立ち並び、道は舗装され、電気、水道は当然の様に使うことができる。基本的に日本では当たり前のことではあるがインド帰りの私にとってはこの事実がものすごく新鮮に、そしてありがたく感じられたのである。
 
なんて恵まれた国に自分は住んでいるのだろうか。
 
 
井の中の蛙大海を知らず(井の中も知らず)と付け加えたい。