ベーグルが好きだ
ベーグルが好きだ。
ニューヨークを感じる。自由を感じる。なによりもコーヒーによく合う。
好きなジャムとクリームチーズをぬればそれで十分。アボカドやスモークサーモンなどを挟んでリッチにしなくてもおいしい。休日の朝食がベーグルだと気分も良くなる。晴れていても雨が降っていても関係ない。休日の朝を清々しい気持ちで過ごすことができる。
ひとつ欠点があるとすれば値段の高さだ。近所のパン屋で買おうとするとひとつ200円ほどするではないか。日常的に食べようという気にはなれない。そしてそんな欠点を克服し、食べたいときにいくらでも食べられるようにするため、ベーグルを作ってみることにした。
幸か不幸か、時間ならたっぷりある。
強力粉とドライイーストを買ってきて生地をこね、ドーナツ状に成形し、少し茹でた後、オーブンで焼く。発酵の時間をあまり取らなくて良いというのがミソだ。食べたいなと思った朝に生地をこねだしても1時間後には完成するのである。
いかにつやっぽく、そしてもちもちに仕上げるか。これがベーグル作りにおける私の信条だ。
こんなこだわりを持ってベーグル作りに励む男も少ないだろう。しかし、私は誰に遠慮をすることなくただ好きなものを好きと言いたいのだ。スマートフォンや通信の発達によって価値観は多様化している。いや多様化したというより多様性が見えるようになった。そして少数でも思いを共有できる仕組みが今はあるではないか。
ベーグルを作りながらそんなことを考えていた。